今日は学校も休みで、組としての仕事も無く、朝からのんびりと過ごしていた。


「んー・・・!」


1階のソファに座りながら、背筋を伸ばした。
・・・あぁ、今日は平和な一日だ。
そう思っていると、誰かの足音がドタドタと聞こえてきた。・・・何かあったのかな?


「お嬢!ここに居られましたか・・・!」


その足音の正体は龍さんで、龍さんはどこか真剣な表情をしていた。


「龍さん!どうかしたんですか?」

「いえ・・・。その・・・。今、お暇ですか?」

「はい、大丈夫ですけど・・・。」

「よかったー・・・!では、質問してもよろしいですか?!」

「え?・・・はい、いいですけど。一体、何の質問ですか?」

「えぇっと・・・。その・・・。お嬢は組の中で・・・誰が・・・お嬢の・・・・・・王子様だと思いますか?!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。何の話・・・?
龍さんの表情は、何かあるようだった。質問って言われたときも、何か大事なことなのかなって・・・。


「・・・何の質問なんですか、それ?」

「ですから!お暇ですかとお聞きしたんですよ!」


ですから、と言われても・・・。なんで、そんな質問をしたのかという答えにはなってないと思う。


「私がそれに答えたところで、どうなるんですか・・・?」

「それは、その・・・。ほら!歓談ですよ、歓談!俺は、お嬢と楽しくお話したいなーと・・・。駄目、ですか・・・?」


楽しく話すにしても、突然こんな話題にはならないと思うんだけど、龍さんが少し目をうるうるさせて頼むから、私もそれ以上責め立てようとは思えなかった。
・・・たぶん、ヤスさん辺りと、誰が王子様みたいか?という言い合いにでもなったんだろう。


「・・・わかりました。答えます。・・・で、王子様にするなら誰って質問でしたっけ?」

「はい!ありがとうございます!!お嬢のイメージでも構いませんよ!」


今度は嬉しそうなキラキラとした目の龍さんを見て、私は諦めて、よくわからない質問に答えることにした。


「そうですね・・・。ん〜・・・。天音くん、とか・・・?」

「京吾、ですか・・・?!」

「天音くんって見た目も性格も、王子様っぽい気がしません?優しくて、格好良いし・・・。」

「・・・・・・・・・。」


龍さんが納得いかないという顔をしている。・・・でも、私も何となく、少し違うような気がした。


「ん〜・・・。天音くんよりも龍さん、かな?」

「俺ですか!!」

「私を迎えに来てくれたっていう意味では、王子様みたいですよね。」

「本当ですか?!」


迎えに来てくれたと言うより、あのときは誘拐されたと思ったんだけど・・・。
そう考えると、やっぱり違うような気がして、もう少し考え直した。


「・・・・・・いや、やっぱり、1番は朝生さんだと思います。」

「あ、朝生?!!」

「はい。朝生さんって、実際、この組のトップに近い人じゃないですか。だから、王子様ぐらいの位置になるのかなーって。」

「くそ・・・。朝生の奴め・・・!」


天音くんと答えたとき以上に、龍さんが不満そうな顔をしていた。・・・相変わらず、この2人は仲良くないよなぁ、なんて考えていると、龍さんがパッと顔を変えて言った。


「では、お嬢!次に、無人島で二人きりになるとしたら、誰がいいですか?!」

「え?!まだ、あるんですか?!」

「はい!」


勢いよく返事され、私も文句を言う気が失せてしまった。
・・・まぁ、時間もあるし、たまにはこういうのもいいかな。本当に、今日は平和な一日だ。


「無人島・・・・・・。朝生さん、かな。」

「またですか・・・?!」

「朝生さんなら、頭も良くて、無人島での生活でも困らなさそうだと思うんです。」

「でも、アイツは金が無いと生きていけませんよ!!」


・・・それは言いすぎです、と思ったけど。たしかに、朝生さんが自然の中でサバイバルをしているところを想像すると・・・かなり違和感がある。


「じゃあ・・・龍さん?」

「そ、それは、どうして、ですか?!」

「龍さんは体力ありそうだし、頼りになると思ったからです。」

「任せてください、お嬢!お嬢のことは、命に代えても俺がお守りします!!」


今、無人島にいるわけでもないのに、張り切って言う龍さんを見て、龍さんでもないかなと思った。
龍さんって、ちょっと感情的と言うか・・・。今だって、冷静な返答とは言いがたいし。


「でも、灰谷先生かな?」

「な・・・!どうして突然・・・!!」

「よく考えれば、灰谷先生は医学の知識もあるし、手先も器用だし・・・。1番無人島でも生活できそうじゃないですか。」

「うぅ・・・。」


1度は龍さんと答えたのに、いきなり変えちゃったのは、気の毒だったかな・・・。龍さんが思い切り、泣きそうな顔をしている。
・・・龍さんは冷静でいられなさそうだから、という理由は言わなくて正解だった。


「で、では!お嬢!もし、心と体が入れかわるなら、誰がいいですか?!」

「入れかわるなら・・・?」

「はい!」


正直、また変な質問だなぁと思ったんだけど、話を続けないと、本当に龍さんが泣いてしまうかもしれないので、ちゃんと考えることにした。


「えぇっと・・・。じゃあ、天音くん?」

「また京吾ですか?!」

「たぶん、天音くんの方がよっぽど可愛い女の子としてやっていける気がしますし。」

「そんなことはありません!お嬢の方が比べ物にならないぐらい可愛いに決まってます!!」


私が可愛いかは別として・・・。本当に男の天音くんの方が可愛かったら、女として私はやっていけなくなる。もし、そうなってしまったら、大変なので、やっぱり天音くんという案は却下しよう。


「では・・・龍さん?」

「お、俺ですか・・・?!!」

「龍さんなら、私らしい振る舞いをしてくれそうですし、私の体で無茶なことはしないで大事にしてくれそうですから。」

「う・・・。そ、そうですね・・・。努力します・・・!でも、お嬢の体になったら、俺は、俺は・・・・・・!!」


また龍さんは、想像の話なのに真剣に悩んでしまった。
龍さんはギュッと目を瞑り、これまた力強く自分の胸元のシャツをしっかり掴んでいる。かと思ったら、目は閉じたまま、手をシャツから離し、握ったり開いたりを繰り返している。
・・・そこまで悩まなくてもいいのに。一体、何に困っているんだろう。
そんな龍さんの様子を見て、さっきの質問のときと同じ理由が頭に浮かんだ。・・・普段なら、無茶はしないでいてくれそうだけど、いざと言う時うっかり私の体ってことを忘れそうだ。


「あ。朝生さん。朝生さんがいいと思います。」

「えぇー?!お嬢・・・。」

「朝生さんって、入れかわっても冷静に対処してくれそうじゃないですか。それに、入れかわってしまった原因も早く突き止めてくれそうですし。」

「お嬢〜・・・。」


今度も龍さんは泣きそうに言った。
・・・いや、既に涙目になっている気もする。
そんな表情で、龍さんは言葉を続けた。


「お嬢!さっきから、俺は2番目ばかりじゃないですかー・・・!」

「・・・そうでしたっけ?」

「はい、そうです・・・!!王子様のときも、朝生、俺、京吾の順でしたし・・・。無人島のときは、灰谷、俺、朝生。最後も朝生、俺、京吾・・・。ほら、俺が2番目です・・・!」


言われてみれば、そうだ。
でも、何も意識して2番にしたわけじゃないし・・・。逆に言えば、意識しなくとも、2番目には出てくる存在だということ。それほど、私の中で龍さんの存在は大きいんだと、私は思うけど・・・。
目の前の龍さんは、やはり淋しそうに、こちらを見ている。


「この3つの質問では、そうだったかもしれないですけど・・・。少なくとも、私にとって龍さんは、すごく大事な人であるのは確かですよ?」

「お、お嬢・・・。それは・・・本当、ですか・・・?」

「はい、もちろん。こうやって、龍さんと話す時間も大好きです。」

「お嬢・・・!!」


私が笑顔で言えば、龍さんもようやく元気になってくれた。
・・・よかった。一安心だ。
でも、本当に慰めで言ったんじゃなくて、私は龍さんと居るのが好きだ。龍さんと居ると、何だか落ち着ける。・・・たしかに、今日みたいに突拍子も無いことを言い出したりもするけど。でも、それも含めて、龍さんとの時間は楽しい。


「だから、これからもよろしくお願いしますね?」

「もちろんです!!・・・ですが、お嬢?」

「何ですか?」

「やはり、朝生を選び過ぎではありませんか・・・?」


さっきの悲しそうな顔は無くなり、今度は納得がいかないという表情の龍さん。
まだ、さっきの話を続けるんですか・・・。
なんてことを思ってしまっていると。


「おい、。そんな所で何をしている?」

「朝生さん!」

「あ、朝生・・・!!」


さっきまでの話もあって、龍さんはいつも以上に、噛み付くように朝生さんを睨み付けている。でも、朝生さんは、龍さんのことは眼中に無い様子で、私にだけ話しかけた。


「どうせ暇なら、そんな所でボーッとしていないで、勉強でもしたらどうだ。まだお前は、組のことも充分理解してはいないのだからな。」

「す、すみません・・・。」

「朝生!!お嬢にだって休息が必要だろ!」


龍さんは私を庇い、また朝生さんを敵視していたけど・・・。やっぱり、朝生さんは無視だった・・・。
本当、仲良くできないのかな・・・、この2人・・・。


が勉強するのなら、私の部屋へ来ても構わない。」

「え?いいんですか?」

「あぁ。私の部屋には本もたくさんあるからな。」

「でも、お邪魔じゃないですか?」

「安心しろ。今日は、私も少しぐらいは時間がある。・・・それに、お前がどうしてもと言うのなら、教えてやらなくもない。」

「本当ですか?!では、是非!!」

「お嬢〜・・・!」

「ごめんなさい、龍さん。でも、お話はいつでもできますから・・・。」


そう。この2人だって、仲良くしてもらうには、まず私がしっかりしないと!それに、朝生さんが勉強を手伝ってくれるなんて、今後もう無いかもしれないし!!


「・・・では、お嬢!俺も行きます!!」

「龍さん?」

「朝生と2人きりになんて、絶対させません!!だから、俺もお嬢と一緒に勉強します!!」

「誰がお前も来ていいと言った。私は婚約者である、だけを部屋に招いたんだ。勝手について来るな。」

「朝生ー・・・!俺は、婚約者なんて、絶対認めねぇんだからな・・・!!」


私が勉強して成長すれば、この2人も仲良く・・・・・・・・・なるのかな・・・。













 

あれ?これって・・・那由多夢でしたよね??(聞くな)何だか、朝生さんの一人勝ちになっちゃいましたが・・・。まぁ、これがランキング勝者の特権ということで(笑)。
ちなみに、このランキングは、公式サイト様で実際に行われていたものを基にしております。これを見た瞬間、龍さんの話が書きたくなりました(笑)。本当、龍さんは可愛い御方です♪

そして、今回は朝生さんも登場!・・・いやぁ、本当頑張りました(苦笑)。と言うか、よくよく考えれば、朝生さんが出てこなければ、名前変換もできていなかったことに・・・。朝生さん、ありがとうございます!そして、ごめんなさい!(土下座)全くキャラを掴めていません(←体験版しかやってないから、当たり前だろ)。
でも、機会があれば、先生'sも出したい・・・(←)。

('09/06/11)